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判断の理由は後付も大事

大抵の場合、物事に対して行動や判断の理由は、細かいプロセスを意識することなく行われています。
例えば、「パスタを食べよう」と思うのは、「お腹が減った」「食べる時間はあるか?」「何を食べようか?」等の思考を経ていますが、そのプロセスは記憶されにくく「パスタを食べよう」という判断が強く記憶に残ります。
これは、判断の理由を言語で記憶していないからです。
もちろん、大事な事で、深く悩んで決めえたことは、その思考プロセスを言語に変換して考えているので記憶に残ります。
ですが、判断に至るまでは、主観のほかにも対外的な価値観や、思い込みがあります。
これらも、記憶に残りにくいのですが、思考のプロセスに入り込んでいます。
このように、判断の理由というものは曖昧で、自分が決めていると思っていても様々な影響を受けている事が多いのです。

では、もし判断が良くない結果を招いた場合、どのように思うでしょうか。
自分を責めたり、周りのせいにしていては、後悔ばかりが思い浮かんでしまいます。
ほとんどの人が、悪い結果に対しての否をどこかにつけようと反射的に考えます。
これは、失敗をしたとき、何かが悪かったと認識する事で、羞恥心や不安などのマイナスの感情を抑えようとするからです。
自分を責めたり、周りを責める事で行き場の無い感情を瞬間的に抑えているのです。
ですが、ここで終わってしまっては、行き場の無い感情を抑えているだけなので、マイナスの感情が残ったままになってしまいます。

そこで、判断の理由をいい形で後付けすることが必要なのです。
判断の理由というものは曖昧だとすると、その時の感情は記憶として曖昧になっています。
失敗した場合、判断をした時のプロセスよりも、判断の結果がクローズアップされますので、結果に至ったプロセスまでも「失敗につながるプロセス」として認識されます。
判断をした時点では、悪い判断ではないはずが、結果から悪い判断だったと断定してしまうのです。
その認識を少し変え「判断をした時点では、悪い判断だと思って決めていはいない」というのを前提に、判断の理由を後付けするのです。
判断に至った経緯の肯定、判断をした状況の肯定、判断をした時の自分の肯定を行えば、その判断が結果的に失敗だった場合でも、肯定的な理由が思いつくはずです。
そうすることで、プロセス全体ではなく、プロセスの「どの部分が良くなかったか」も明確になりやすくなります。

また、判断をする時に大変迷ってしまい、決心が曖昧なまま決めてしまった場合等も後付けの理由でも良いでしょう。
「決断が曖昧だったのは、自分が未熟なせいでもあるが、誰が考えても難しい問題だった。」
「あの判断をしたのは、○○○○な理由があった訳だし、その理由は自分にとって大切な事だ」
のように後付けする事によって、プロセスの理由が再確認されるため、納得心が生まれやすく、マイナスの感情が減る事が多くなります。
そして、その理由を元に、改めてどういうプロセスが良かったかを考え、次に生かす「答え」を出せると更に良いでしょう。

理想的なプロセスは、決断する前に良い方向・悪い方向のどちらも視野に入れ、悪い方向になった場合の対処方法を導き、「悪い方向になったとしても、この対処があるから大丈夫」という考えの元で決断することです。
このような客観的な思考で、自分の感情に納得させられる事は理想的ですが、なかなか難しい事でもあります。
そのため、先ほど紹介した「後付けの理由」で、自分の感情を納得させる事も大事なプロセスになります。
「後付けの理由」のプロセスも意識し続ける事が出来れば、理想的な「決断前の理由付け」もできやすくなっていきます。

「自分が悪い」「相手が悪い」だけの理由では、自分の感情が納得する事は難しいので、自己成長のためにも感情が納得する心理的対処(プロセス)を意識してみてください。
著者:
恵比寿メンタルカウンセリング代表。様々な職種経験を活かし、認知行動療法を行います。アダルトチルドレン、共依存、コミュニケーションなどのご相談をお受けしています。

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